2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

能楽の謡における拍と『王孫不帰』――横道萬里雄氏の著作を手引きに

「王孫不帰」は確かに難しい。今、現存する日本の合唱曲の中で最も難しい作品の一つですね。難しいだけでなくて非常に優れた作品です。それは三善さんの人生のある一つのピークの時に出来た作品でした。三善さんの非常に充実した音楽活動の結果作品に昇華し…

G.リゲティの合唱作品

青年時代、私はバルトークとコダーイ、あるいはハンガリーやルーマニアの民俗音楽に影響を受けた。コダーイの仕事が刺激となって、ハンガリーでは声楽ポリフォニーへの回帰が起こっていた。当時、プロやアマチュアの合唱団が多く存在し、ルネサンス期の作品…

児童合唱作品 『しゅうりりえんえん』

花壺のように彼女らはゆれていた。彼女らの中に何が宿っていたのだろう。ひょっとして、人生最初の心の錘りが、この世の変相を映す岸辺にとどく錘りが、この少女たちに宿ったかもしれない。 選らばれた処女神たちのように彼女たちは歌う。教会での聖歌ではな…